リフォーム業者ってとにかくたくさんあるけど、どうやって選べば良いの?

リフォーム業者をどうやって選べばいいでしょうか。1番目のポイントとして工事実績に着目します。リフォーム業者がどの部分に専門化していて、どれだけ実績があるかというのは、建設業の業界の構造的に、また新築と比較してリフォームという工事の特質的に特に大切な要素となるためです。

何が良いデザインかを説明するということ

家のデザインの好みは千差万別であり、施主であるあなたの好みがすべてです。そしてこれはなかなか表現することが難しいことでもあります。なぜならどのようなデザインが良いかというのは各自が頭の中にその人なりに明白なビジョンを持っているのに、それを他人に伝えるのは言葉でも絵でも難しいからです。さらにリフォームの場合はその家で過ごした時間や一緒に過ごした家族といったイメージまで被ってきます。これを素人が言葉で的確に表現することはほぼ不可能です。これは音楽を言葉で表現するのと同じです。「あなたの好きな音楽を思い出してください」と言われれば誰しも1曲や2曲は思い浮かべることができるでしょうし、その音楽を頭の中で再生することもできるでしょう。しかしそれを、曲のタイトルや歌手や歌詞やその曲の時代背景などの説明なしに言葉でどのような音楽かを説明するようなものです。これで価値観を共有するのは、プロであるリフォーム業者にとっても難しいことですし、おそらく家族の間であっても難しいことです。

事例を見てイメージをふくらませる

リフォームのデザインについて考える時は、言葉だけに頼らずに実際の施工事例をたくさん見ましょう。もちろんそれは他人の家の他人の事例ですので、そのままぴったりと自宅に再現できるわけではないです。そこで大切なのが想像力です。もしこれがうちだったらどうなるかということを想像してみてください。そうやって想像してみて心地よいと思ったものが良いデザインなのです。その事例は保存しておいて、リフォーム業者への説明に使います。

事例の探し方

リフォームの事例は専門誌、カタログ、Webサイトなどで確認することができます。図書館にリフォーム関係の書籍や雑誌が置いてあるということもあるでしょう。

専門誌はリフォーム業界の出版社だけではなくて、暮らし全般を扱う出版社が特集で出していることもあります。数百円のものから数千円のものまでいろいろあります。リフォームの箇所がもう決まっていれば、特定のリフォームに特化した専門誌を探せば事例の比較が簡単になります。

カタログは施工業者に出向いてもらってくることもできますし、インターネットから請求することもできます。無料で一括カタログ請求のできるサイトもあります。リフォームしたい箇所が決まっていればその箇所だけのカタログを見れば様々な種類のデザインを比較することができます。

Webは並べて比較するのは難しいですが、個別の事例の情報量は専門誌やカタログよりも圧倒的に豊富です。また、地元のリフォーム業者のホームページに施工例があれば具体的な選択の指標になります。

家族と一緒にデザインを決める

一般的にリフォームは一人暮らしの方が一人だけで決めることは少ないです。概ね同居している家族と相談しながら進めていくことになります。
リフォームには修繕という意味も含まれるので、一人暮らしの方でも台風の後の屋根の修繕といった修繕的な意味の強いリフォームが必要となることがあるでしょうし、加齢対策でバリアフリーにするなどは一人暮らしでも必要なものではあります。また賃貸用の資産物件をリフォームするという場合は、同居している家族と相談は必要ないかもしれません。
しかし一般的には、夫婦や親子といった同居家族のライフスタイルや好みを反映させながら決めていくということが多いですし、特にデザイン段階はそれが必要になります。

しかし先述の通り、長年一緒に暮らした家族だからといって、血がつながっているからといって、デザインの好みが同じであるとは限りません。また同じ家で暮らしていてもそれぞれライフステージが異なりますので、家に要求することや、今の家の対して持っている不満も、少しずつ異なります。
そしてこの齟齬は、最終的には家族間の不満という形ではね返ってきます。家族が健康で幸せになるためにリフォームをしたのに、その結果が家族の不和というのでは悲しいですよね。
またこの齟齬はリフォーム業者に対しても良い結果になりません。施主の夫婦でいうことが違う、施主の親子で注目点が違う。これは悪い業者に対しては付け入るスキを与えることになりますし、悪い業者でなくてもリフォーム業者は夫婦や親子の意見の違いをジャッジする立場にはないわけなので、その答えはどうしても両者の意見を足して2で割ったような凡庸なものになりますし、誰のニーズも満たすようなものは概ね値段が高いです。これは自動車を想像していただくと分かりやすいかとも思います。ラグジュアリーでスポーティーで広い室内空間を確保しながらスマートな外見で、という足し算を満たすのは、概ね中の上のクラスの車です。
家族で一緒に事例を集めた専門誌やカタログやWebサイトをみてください。そしてこれが良いとかこれは好きではないとか、そういったことをお互いに言いあいましょう。そうして固まってきたコンセンサスが、「あなたの家族にとって」良いデザインということになります。

デザインのこだわりを反映してくれるのはどこか?

リフォーム業者にはたくさんの種類があります。住宅メーカー、工務店、設計事務所、リフォーム会社、専門工事業者、フランチャイズ、リフォーム業界以外といった会社が参入していますし、資本金数百億円でテレビにCMを出しているところもあれば、数百万円の会社もあります。できたばかりの会社も創業以来数十年という会社もあります。この中でデザインが得意なところはどこでしょうか? どこに頼めば安心でしょうか?

この問に関しては、結論を先にいうと、あまり違いはありません。あえて言うのならば設計事務所や地元の専門工事業者ですが、より大切なのは前章で述べたあなたとあなたのご家族の好みであり、その好みを視覚的に表現できることであって、それに比べれば業者の種類の違いというのは誤差のようなものです。

設計事務所からいうと、しがらみの少ない設計事務所の建築士は設計の自由度は高いといえます。しかし、注文住宅ならばともかく小規模なリフォームの設計を設計事務所に依頼してもその力を活かしきれるわけではないです。それに建築士はデザイナーであるわけではないですし、大手工務店の中にも建築士はいますし、施工業者と建築士がほぼ業務提携のようにい一緒に仕事をしている場合もあります。設計事務所に依頼すれば、自由度の高い設計が必要な時は力を発揮してくれるでしょうが、設計事務所に依頼すれば常に頼りもデザイン性の高いリフォーム結果を出してくれるというわけではありません。

地元の専門工事業者は、その地元のことをよく知っていますし、ライフスタイルやライフステージというものをよく理解しているでしょう。だから、施主が曖昧なことを言っても「このあたりの人だったらだいたいこんな感じだろう」というのを推測する潜在力は一番高いかもしれません。また地元の施工事例を見に行く機会も作りやすいし、近くにあれば相談もしやすいので、結果として出来上がったものが満足度の高いものになる可能性は高いです。

しかしそれは結局丸投げして、後は丸投げ先が良い人であることを祈るということに他なりませんし、たまたま良い人だったというのならばその割合は他のかたちの会社もあまり違いはないでしょう。